NZワクチン接種状況とNZ国境再開の展望

2021年NZ政府予算案の発表が来週に控えておりますが、その前に本日行われたビジネスリーダーの会合でNZアーダン首相がNZ政府の国境再開に関して非常に興味深いスピーチをされました。

その内容に触れる前にNZの現時点でのコロナワクチン接種状況をお伝えさせていただきます。現在、計画の接種数を上まった形で順調に進んでおります。現在まで国境勤務者とその家族、医療機関勤務者とその家族、老人施設勤務者とその家族と順調に進んでおり、今月末から疾患のある高齢者の接種開始となります。

そしていよいよ7月に一般市民の接種開始となり、この頃にNZ歴史上最大規模のワクチンキャンペーンが開始されます。接種会場も多くの場所に設置され、Eden Parkで大規模接種会場を設置する計画もある様です。そして一般開業医や薬局、仕事場などでも接種が可能となり、この頃には月に200万回接種を目指す形となります。

このまま計画通りに行けば、7月で接種が残る一般市民の人口は2.5百万人ですので、ファイザーのワクチンが2回接種が必要であると考えても7月一斉接種開始から3〜4ヶ月ほどで終了する計算となります。アンケート調査ではNZのコロナワクチン接種希望者は85%ですので、ワクチンの供給に問題が生じない限り、順調に計画通りに接種が終了すると考えられます。そうなりますと、NZの国民ほぼ全員の2回の接種が11月頃には終了するという事になります。

本日のアーダン首相のスピーチでは、NZの全国民のワクチン接種が終了する前に、ワクチン接種をした旅行者がNZに入国できる可能性について“可能性は十分にある‘’、との発言をしました。

NZ政府のスタンスとしては比較的オープンにこれから段階的にリスクの低い国のワクチン接種者から入国を許可していくという事の様です。

UKのデータではコロナに感染したワクチン接種者から同じ家に住む家族のワクチン接種者への感染は接種していない場合の半分以下に抑えられると既に報告が出ていますが、NZ政府はワクチンを接種した人同士の感染率やワクチンの変異株への効果と共に更にデータのモニタリングを継続し、慎重に、専門家の意見と共に国境再開に関して段階的に決定していくとの事です。本日のスピーチから、お隣のオーストラリアのスタンスと比べますとよりオープン&フレキシブルに国境を開いていく予定であると感じ取れました。

お隣のオーストラリアは現在ワクチン接種率が本来の計画よりも大幅に遅れをとっており、このままのペースだと全国民に2回打ち終わるまでには2年以上掛かってしまう、という計算になってしまい、いつ国境を開け始めるべきなのか今だに明確なロードマップが作成できない状態であります。最近のオーストラリアの予算案発表では早くて来年半ばから後半などとも示唆されておりました。

オーストラリアは最初の予定では英国産のアストロゼネカのワクチンをEUから輸入&国内でも大量生産して1ヶ月400万回接種を目標ということでしたが、EUからの供給差し止めと、アストロゼネカ接種後の血栓が発生したという報告により、50歳未満にアストロゼネカの接種を推進しないことを決定した為に大幅に当初の予定の供給から遅れを取ってしまった事が接種数ターゲットをかなり下回っている原因です。それに比べNZは人口5百万人と少ない&NZ政府もアストロゼネカやJ&J、コバックスとも最初は契約しましたが最終的にファイザー一つに絞ることにし、接種量も十分に確保してその供給も計画通りに達成できている、という点がスムーズに進んでいる理由であります。そういった意味でも、今年末までもしくはそれよりも早くに全国民のワクチン接種が終了するという明確なスケジュールが提示できるので、国境再開に向けたこれからのプランも立て易いという事になります。

NZは来週月曜日にCook Islandsと、そしてその次はNiueとのTravel Bubbleを開始致します。

今回のスピーチから感じたのはこのTravel Bubbleに、他の国が参加していくもしくはローリスクの国からの場合ワクチン接種証明と共にNZ入国が今年末までに可能になる、という事です。

日本は現在感染数が増え続けてはいますが、高齢者へのワクチン接種もいよいよ始まり、NZと同じ様に接種数がどんどんこれから増えて行く予定ですのでNZと同じ頃に国民60%の接種が終了してその頃には感染者数も落ち着き、NZにワクチン接種証明と共に入国できる日は今年中に実現するかもしれません。

世界のコロナの感染状況やワクチン接種の進捗と共に世界事情は日に日に大きく変化しております。半年後にはかなりの国が国境を開き始め、トラベルバブルを組んだりワクチン接種証明で隔離なしの入国可能になったりとコロナ禍前へ一段と近づいて行く事になると思います。あと半年、されど半年、どの様にNZや世界が再オープンしていくのかが今からとても楽しみです。